2016年6月18日土曜日

おどける父

水木金と父を見ていなかった姉は、今日の父を見て驚いていた。



父の状態が一気に低下していたからだ。



昨日から一切の食べ物を拒み始めた父は衰弱している。



それでも私と一緒にいる間はぼんやりしていたのに、1時間後に姉が来た途端笑いを取ろうとするのにびっくりした。



急におどけ始めたのだ。



どうも心臓麻痺を起こして死んでしまった自分、という一連のジェスチャーをしているらしい。



私のことはもうわからなくなっているのに、姉のことはよくわかる父。



やはり長女を頼りにしているのかもしれない。


元気だったのが

突然の心臓麻痺

崩れ落ちるところ


そしてこときれた(らしい)


看護師さんと話したいと言うと、若い看護師君が来て父の状態を説明してくれた。



その間父は姉に向かって拝むように手を合わせている。



何かを謝っているようにも見える。



父はまるで死を受け入れる準備ができた、今までありがとうと言っているようだ。





説明の内容は、以下のようなものだった。



父がもう自分から食べようとしないこと、水分も100ccしか取れていない、熱があったので抗生物質を点滴で投与したが、父は針を抜いてしまう。



入院して拘束して生命維持に必要な栄養点滴を受ければ、1ヶ月ぐらいは延命できるだろう。



ただ、その後は今と同じようにまた脱水症状を起こす。



本人にとっては苦しい治療だということ。



あるいはホームで看取りすることもできる。



その場合父は緩やかに意識が低下していき、安楽な死が訪れるそうだ。



月曜日にホームの嘱託医の説明があり、その時点で看取り介護に移行することに同意するなら、確認書に署名する。



拘束し点滴を受け、水分で身体がパンパンにむくみ、痰の吸引を続けながら死を待つよりも、できればホームで穏やかに逝かせてあげたい。



救急搬送で入院させないことに同意した。




昨日はスーパーで人の目なんかどうでもいい、と思いながら泣きに泣いた。



が、ホームで泣いている姿をスタッフに見せるのはなんだかいやだ。



それも父の目の前で泣きたくない。




今晩もう一度ホームに行き、父が穏やかに呼吸していることを確認する。



その時父の意識がしっかりしていたら、父にいいニュースを伝えたい。

最期まで髪がたくさんあったね