2016年4月13日水曜日

古い写真

父の趣味は写真だった。カメラを収集し写真を撮ることが何よりも好きで、よくカメラの埃をスポイドで取り除いたり、レンズを磨いたりしていた。

だが、父は今そういう趣味を持っていたことさえ覚えていない。ベットに横たわり、一日中壁を見ている。

父の目からは知の光が失われつつある


実家にある父の物は殆ど捨てたが、まだいくらかは残っている。今回の日本滞在では最終段階の整理をしている。父の物の中には写真が多い。




今まであまり興味を持って写真を見たことはなかったが、こうして一枚一枚古い写真を見ると、父にも母にも歴史があったんだなあ、と胸に迫るものがある。

左は母の姉
真ん中が母4歳

母の子供時代

女学校時代の母

戦場に送られ、無事生還したあとも苦労の多かった父。母もそんな父と結婚して一緒に苦労を重ねた。

父は戦争中台湾に送られた

駆け落ちして結婚した両親

海での写真が多い
この時代のレジャーは海水浴だったのだろう

母は最期までとても明るい人だった

母が発病する少し前に姉と撮った写真

薬害で発病した当時でも母は明るかった
治療にステロイドが使われて太っていた
この時点ではもう全盲で下半身付随だったが表情に屈託がない

母を42年間介護した父に明日はもう少し優しくしてあげようかな、と思ったりする。

先週大型ゴミとして母の車椅子を捨てたが、
これはとてもつらいことだった
(老人ホームへの寄付は断られた)

母は私が12歳の時には寝たきりになったので、それまでの母との記憶があまりない。それでも楽しい子供時代だったことは間違いない。決して裕福ではなかったが、幸せだったのだろう。

が、あまり賢い家族ではなかったような