2014年5月12日月曜日

サンフランシスコの住宅事情と母の日

それはきんぴらごぼうが原因だった。母の日は夫婦喧嘩で始まった。

今日サンフランシスコに帰る次男にきんぴらごぼうを持たせたかった。夫にゴボウをささがきにしてくれ、とスライサーを渡したが、うまくできないと夫は苛ついている。他にも持って帰らせたいものを調理していたので、ささがきぐらいしてほしい。ささがきがむずかしいのはわかる。とにかくお金のことでこのところ夫に腹が立っているのだ。とにかくお互いにイライラしている。

問題の(?)ささがき

次男のコンドーの頭金を少し補助してあげたいのに、そのお金は簡単には用意できない。老後のための預金も必要だ。でも夫は保守的過ぎる。この夫婦喧嘩を見ている人がいたら『なんと滑稽なことよ』と思うだろうが、二人ともお金のことが不安なので仕方ない。夫婦喧嘩の殆どはお金に起因しているのだ。

実は息子たちがコンドーを買う手助けがしたい、と思うにはわけがある。ベイエリアでコンドーを買えないので、彼らはテキサス、コロラド、シアトルなどに移ろうかなあ、などと言っているのだ。親に買ってほしいとは一度も彼らからは言って来ない。夫は、息子たちが若いうちに他の土地で色々な経験をしてみるのはいい、と賛成している。それはわかる。でも私はやっぱりできるだけカリフォルニアにいてほしい。

アパートの下はカフェ

勿論私だって息子たちに、他の州に移住するのは反対だとは絶対に言わない。が、ベイエリアにコンドーを買う補助をすることで、できればこの辺りに住んでほしい。

次男が今住んでいるアパートはよく話を聞いてみると危険な地域(テンダーロイン)に近い。ユニオンスクエアに歩いて行けるので、アパートの周りは観光客が多い。それでも、すぐ近くには浮浪者や麻薬常用者たちが徘徊しているテンダーロインがあり、いつも事件が起きている。

お昼過ぎに次男をサンフランシスコに送って行った。改めて次男の住んでいるアパート近辺を見てみると、怖そうな人たちがたくさん歩いている。突然心配になって来た。誰かに襲われるかもしれない。もしかしたら、そういう不穏な人が飼っている不穏な犬が息子を襲うかもしれない。数年前に犬がラクロスのコーチをしている女性を襲い、女性はかみ殺された事件もあった。どんどん心配になる。

やっぱりもっといい地域にコンドーを買うしかない、とSOMA/ミッションベイ地区に行ってみた。アパートの家賃を払うということは、お金を毎月ゴミ箱に捨てているようなものだ。支払いは大変でも、コンドーのローンは自分のためだ。その上利子は所得税から引いて申告することができる。

湾に向かって歩く
左側がAT&T Park
ミッションベイ地区はやはり良さそうだ。道はきれいで景色もいい。湾が見える。レストランやお店が並ぶ。犬を散歩させている人も多いが、皆ちゃんとした格好の人たちだ。

今開発が進んでいるこの地区は、しかし安くはなかった。今日オープンハウスをしている部屋は、1LDKだが高いものばかり。80万㌦から90万㌦(8千万円から9千万円ぐらい)だ。

オープンハウスだった9階にある1LDKの部屋から見た景色
左側がジャイアンツスタジアム、写真では見えにくいが湾がよく見える
次男はこの部屋がとても気に入ったようだ
が、勿論買える金額ではない

もう少し地域的には商業的になるが、ベイブリッジのすぐ横にある高層ビルも悪くなさそうだ。ここにはジャイアンツの選手も6人住んでいると聞いた。高層階はラグジュアリーな部屋があるらしいが、低い階には安い部屋もあるということだ。見に行ってみたが、こちらは10分前にオープンハウスは終わったということ。



これはジャイアンツの選手がたくさん住んでいるリンコンヒル(Rincon Hill)
来週また見に来ようと言いながら、AT&T Parkそばのスターバックスに行くことにした。ここで、次男のガールフレンドを待つのだ。ガールフレンドは母の日のためにサンノゼに帰っていた。CalTrainでサンフランシスコに帰って来ているところだ。だから電停にも近いスタバで待ち合わせることにしたのだ。

夕方犬を散歩させる人を見ながらスターバックスのテラスに座っていると、物悲しい気分になってきた。次男はこうして家から離れて行く。彼がひたすら待っているのはガールフレンドだ。それが当たり前の成長だし、こんな時母親と一緒に行動したい息子では問題がある。が、やはりなんだか寂しい。

長男は長男で金曜日からガールフレンドの家にいってしまっている。母と2人暮らしのガールフレンドと母の日を祝っているのだろう。長男は毎年自分の母など関係なく、家にいたことがない。

友人たちは皆、今日は昼食か夕食を子供たちに招待されて母の日を祝ってもらう、と言っていた。なのに、うちの息子たちはレストランを予約してくれるわけでもない。母の日に予約がないとレストランで食べることはできない。今晩は一体どこで食べるのだろう。そんなことを誰も考えてくれないのか。

この物悲しいスタバ
一生忘れないだろうなあ
などなどグチグチと考えていると涙が出て来た。最悪の母の日だな、と思うと涙が止まらない。次男に涙を見られたくないのでサングラスで隠す。そのうちガールフレンドが電停から満面の笑みを浮かべて歩いて来た。次男も数年ぶりに会ったような顔で、嬉しそうに彼女の背中に腕を廻している。仲が良さそうなのはとても嬉しい。でも涙は止まらない。

自分でもこの涙の理由はよくわからない。息子たちがもう母のことが一番ではない、と知っているからか。そうでもないような気がする。それは数年前からわかっている。ステキな女性と結婚して家庭を築いてくれれば母としては一番安心する。

なら、今日の夕食のことを誰も考えてくれないのがつらいのか。自己憐憫の涙?それも違うような気がする。そんなのは毎年のことだ。

息子が親から独立して家を買おうとしていることに感傷的になっている?

わからない。何が悲しいのかわからない。でも涙はいつまでもこみあげてくる。サングラスをかけたまま次男とガールフレンドをアパートの前で降ろして手を振る。帰り道もずっと涙が止まらなかった。

が、ちょっと突飛もないアイデアが浮かんで来た。そのことを考え始めると少し気が晴れれる。

さて、そのアイデアとは何か。

これがヒント