2013年11月9日土曜日

アプの病気

水曜日、森先生の診察で父の薬を減らすことが決まった。抗不安剤だ。その薬を減らすと不安が強くなって幻覚症状などが出る可能性がある。今はホームの職員への信頼感もあるので、以前のせん妄状態の時のようにホームを逃げ出そうとしないかもしれないが、準備は整えておかないといけない。


抗不安剤を減らすことを決めたのは、父の身体機能が衰えて来たからだ。このまま薬を続けて行くと衰えがひどくなる可能性が高い。薬を続けて機能低下しながらも穏やかに暮らすか、薬を減らして機能回復を目指しながらも、またホームから逃げて大通りに座り込んだという緊急の呼び出しに備えるか、むずかしい決断だ。

が、父に毒を盛っているようで、抗不安剤を続けることには抵抗がある。家族としては、薬を続けることで父がどんどん弱っていっているようで、かわいそうで見ていられない。10月6日の森先生の診察では薬の中止を相談した。が、まだまだ暑い時で父が不安定な状態だったので、来月まで待ちましょうという結論になった。

なので、何があるかわからないということで、いつでも日本に駆けつけることができる状態にしておきたい。余程のことがない限り、帰って来ることはない、一人で対処できると姉は言ってくれるが、やはり準備はしておきたい。そうでなくても姉はアプのしつけでアプアプ状態、いやアップアップ状態なのだから。


日曜日から参加予定のパピークラス

木曜日に姉は時間休を取ってアプを3回目のワクチンに連れて行った。ところが今日、つまり土曜日の朝からアプは元気がない。トイレに行ってう〜んう〜んとうなっても出ない。吐く。食べない。飲まない。ぐったりしている。

ぐったりと姉に寄りかかるアプ
明日からのパピークラスをキャンセルした姉は、すぐまたアプを医院に連れて行った。診断は『腸内の細菌感染』。外出したことのないアプだから、一昨日ワクチン接種をした医院で感染したのだろうか。とにかく獣医は『薬で退治するしかない。夜余りに弱ったら低血糖になっているので、救急で連れて来るように。』と言う。

食べ物もお水も受け付けずただただ弱々しく寝ているだけのアプは薬も飲まない。5時からは大阪で熊川哲也のバレエ公演、白鳥の湖がある。6月にチケットを買って楽しみにしていた公演だ。が、姉はアプが心配なのであきらめる。

やつれているような
12時からはホームでカンファレンスがある。姉は食事をする間もなくホームへと急ぐ。カンファレンスではとにかく皆でしっかり様子を見ながら、日曜日から薬を減らしましょうということになった。

アプが心配なので姉はすぐ帰宅する。2時過ぎにちょっと餌を食べたので、ホームにまた戻り父の様子を見に行く。父は相変わらず憎たらしいことを言ったりするので大丈夫。

4時にはアプも元気が少し出て来て、5㌘だけ餌を食べて物足りなさそうにする。そして甘噛みと遊びが始まった。大好きなティッシュの盗み取りだ。誰も見ていない時ティッシュの箱に近づいて、あっという間にくわえて走って逃げるのが、アプの大好きな遊びなのだ。追いかけられるのがわかっているから、誰もここまでは来れないだろう、というところに走って行って座り込んでティッシュを食べる。

湯たんぽを抱えている
ここまで回復していれば大丈夫、と姉はバレエ公演の後半だけを見に行くことにした。熊川哲也はもうすぐ引退するだろうから、できるだけ見ておきたいのだ。湯たんぽを作ってやると、アプはお腹に抱え込んでくつろぐ。

公演はすばらしかったらしいが、姉はアプのことが心配で気が気ではない。長いカーテンコールのあと友人と別れてあわてて帰宅する。が、いつも姉が玄関に入ると姉を呼ぶアプは静かなままだ。すぐ夜間病院に連れて行く必要があるかもしれない、とドキドキしながら部屋に駆け上がる。

ティッシュをくわえて柵を乗り越えようとするアプ
アプは野獣に戻っていた。